皆さん、こんにちは。
アイアイイスズの山本です。
今回は私も大好きな「IWC」をご紹介させて頂きます。
皆さんは、IWCの時計と聞いてどんなイメージを持たれますか?
シンプルで飽きのこないデザイン– Simple –
シリーズが豊富– Series –
高級時計– High-class –
伝説の名機– Legend –
などなど、IWCには様々な魅力があります。
ただ一方で、
といったご質問をよくいただきます。
今回は、スイスでも数少ないドイツ語パートに本社を構えるIWCならではの「独自の魅力」について詳しくご紹介させて頂きます。
まずは、簡単にIWCというブランドについて、ご紹介させて頂きます。
本社はこんな街にあります
本社は、スイスとドイツの国境に近い「シャフハウゼン」という街にあります。
このライン川にたたずむ街は、かつて小説家の有島武郎が“静寂古雅の町”と表現し、彼の純愛ストーリーが歴史の逸話として残る、日本にゆかりのある街です。
私も一度だけ、こちらの本社に訪問させて頂いた事がありますが、「水」と「緑」に囲まれたとても美しい街でした。
こういった美しい環境で、時計づくりが行われているからこそ、IWCの素晴らしい腕時計が出来上がっているんだなぁと思います。
シャフハウゼンはドイツ国境に近いという事もあり、街の人々が話す言葉もドイツ語ですし、気質もドイツ人に近いそうです。
車もそうですが、ドイツ製品は他のヨーロッパの国々と比較しても、「頑丈」であったり「重厚感」があり、比較的故障の少ないイメージがあるのではないかと思います。
そんな環境で制作されるIWCの製品は、自然と日本人の感性に近く、日本人に受け入れられやすい製品という印象です。
時計学校を運営する時計メーカー
元々、IWCという会社はアメリカ人が高性能なスイス製懐中時計を製造し、自国に輸出するために作られた会社です。
スイスの時計生産のエリアの多くは西側のエリア(フランス語圏)にあり、シャフハウゼンはそこから見ると、少し離れた場所にあります。
家内工業の盛んな土地であったシャフハウゼンに工場をおく関係で、そのエリアの人たちに時計技術を育成することも昔から行っておりました。
そんなバックボーンもあって、IWCは時計メーカーでも数少ない時計学校を運営しているメーカーなのです。
卒業生のほとんどは卒業後もIWCでキャリアを積みますが、某有名ブランドにて活躍の場を求める卒業生もいるようです。
ちなみに、こちらの卒業生は学歴に例えるととても優秀な学生が多いとか。
そんな技師たちがつくっていることも、このIWCの素晴らしい時計に対する深みへと変わります。
技術者を創出して、様々なメーカーに送り込んでいるのもこのブランドならではないかと思います。
時計学校の授業の一環として、過去に作られたムーブメントなどのパーツを制作していますので、かなり古い時計でも修理が可能というのもIWCの魅力の一つと言えます。
過去に3本ほどIWCで、祖父の形見の時計や故人の大切な時計を直したいという依頼を、私の方でも受けさせて頂いた事がございます。
勿論、日本国内で修理が出来るわけではなく、本国送りとなりますので、時間もかなりかかりますし、費用も国内修理と比べれば割高になります。
ただ、そうした時計がきちんと修理され、また動き出す瞬間は、故人の思い出が再度動き出す瞬間でもあり、お客様にとっては特別な瞬間で、私にとっても感慨深いものがありました。
機械式時計は、1つの物をメンテナンスや調整をしながら長く受け継いでいくものですが、それでも、20年から30年程度でパーツストックがなくなるブランドがほとんどです。
(国内でも非常に優れたアフターサービス部門をもつロレックスでも修理の対応年数がおおよそ40年程度と言われております。)
子供や孫に受け継いでいけるレベルまで修理の対応が可能なメーカーは、10社もないのではないでしょうか。
そんな中、IWCは自社で制作した過去の全ての商品に対して修理対応するというブランドなんです。
実際に100万円アンダーの製品で、これほど長く修理対応が可能なブランドは、他に無いと思います。
年月をかけて積み重ねてきたバックボーンがあるからこその素晴らしいサービスは、どこでも受けられるものではないのです。
1868年の創業以来製造されたどんな時代の時計にも対応しています。
また、IWCでは、どんなに詳細な情報でも確認できるように、1885年以降市場に送り出された全製品についての詳細な記録を保管しています。修理部門の中心部には部品倉庫があります。ここでは、膨大な量の部品が細心の注意を払って整理、保管されています。
IWC の時計が世代を超えて受け継がれ、愛され続けることを考えると、オリジナルのスペアパーツの保存は非常に重要です。
時計の使用方法や使用環境により、サービスが必要となる間隔が大きく異なる点にご注意ください。引用元: メーカー公式サイトより
それでは、ここからはそんな素晴らしいIWCの商品ラインナップをご紹介していきます。
IWCのシリーズラインは大きく分けて、6つのラインナップになります。
その中に更に、エレガントライン、スポーティーライン二つのラインがあります。
エレガントラインはポルトギーゼとポートフィノ、ダ・ヴィンチ。
スポーティーラインはパイロットウォッチ、アクアタイマー、インヂュニアと分かりやすい構成になっています。
既に見たいコレクションがお決まりの方は、それぞれのバナーより、コレクション紹介をご覧ください。
そしてIWCの凄い点は、全てのシリーズで積み重ねてきた歴史や物語があり、またその中には「伝説の名機」と言われる逸品も存在します。
全てのラインナップに魅力がありますので、どれを選ぶか悩んでしまう方も多いんじゃないかと思います。
それでは、ここから各シリーズごとに詳しくご紹介させていただきます。
シリーズ紹介
パイロット・ウォッチ
IWCを代表するシリーズの一つが、こちらのパイロットウォッチです。
1936年に開発された「スペシャル・パイロット・ウォッチ」をオリジナルとして生まれたシリーズになります。
パイロットウォッチと名がつくものの代表としては、
ブライトリングのナビタイマー | 航空用の回転計算尺を初めて装備し、AOPA(世界パイロット協会)認定の公式時計に採用された |
ブレゲのタイプXX(トゥエンティ) | 1960年にフランスの海軍航空隊に納品された |
カルティエのサントス | 1904年、ブラジルの富豪であり飛行家のアルベルト・サントス=デュモンの依頼によって試作された |
IWCのマークシリーズ | 1930年代~40年代にかけて、世界で初めて軍用に開発されたパイロットウォッチ |
がやはり有名どころではないでしょうか
その中で特筆するべきポイントは、IWCのパイロットウォッチの源流は、ミリタリーなんです!
軍用に最初のパイロットウォッチを制作したのは、IWCと言ってもいいのではないでしょうか。
1930年代から40年代という創世記の空軍用に求められた機能は、当時の技術としてはとてもとても難しいものだったと思います。
・視界状況にかかわらず、パイロットが常に簡単に時刻を確認できる「視認性」
・強力な電磁場を発生させるレーダー装置の影響を受けない「耐磁性能」
・急激な気圧や温度変化にも対応できる「堅固性」
以上を追い求めた“プロユースの腕時計”には、
そう!男が大好きな「無骨なギア感」が満載なんです(笑)
でも皆さん安心してください!
ミリタリーウォッチにありがちな「シンプルさ」や「無骨さ」のみが魅力の時計ではないですからね。
一昔前と比べると随分バリエーションが増えていまして、カラーのバリエもしかり、遊び心のある選択肢が増え、より洗練されたファッションアイテムとしてのカッコよさが増しております。
ビジネスシーンや普段使いでも、ほんとお洒落にカッコよく決まります!
またムーブメントも自社キャリバーに変わり、ますます完成度を高め、今まさにBEST BUYの一本だと思います。
人気シリーズだからこそバリエーションが多くなるのは世の常なんですが、こんなにあると確かに迷いますね(笑)
ここからは基軸のコレクションに分けて、その魅力を紹介していきますね。
①クラシック
これぞ軍用パイロットウォッチのパイオニア。
1930年代~40年代に開発された軍用パイロットウォッチのデザインを世襲したこちらのコレクション。
現在でも、クラシックなパイロットウォッチの特徴であるコックピットデザインを受け継いでいます。
プロユースの為に開発された時計にとって一番大切なものはなんでしょうか
それは極限下の環境に対応する“機能性”なんです。
IWCの技術は現行モデルにもしっかりと受け継がれています。
軟鉄製のインナーケース
(コックピット内の強力な電磁場からムーブメントを守る)
アラビア数字
(極限下でもっとも時間を判別しやすい視認性の高さ)
ドーム型の風防
(軍用パイロットウォッチの味わいを醸し出す)
※急激な気圧変化に対応するために開発された技術。ガラス素材の進化に伴いフラットガラスが主流に。
機能美が生み出した美しさを現在も感じ取ることが出来るパイロットウォッチのマストポイント。
1990年代に作り始められたマーク12は、頑丈さ、あるいは見やすさ、正確さなどパイロットウォッチのいいところを残しながら、ムーブメントなどは高級時計ベースの仕上げがなされているのが特徴です。
デザインありきではなく、機能ありきで生まれてきたIWCのデザインは、今でも名品として“不変の美しさ”を持っていると思います。
勿論、その“美しさ”は宝石メーカーのきらびやかなデザインとは全く真逆のものです。
ギア(道具)として完成された「シンプルで無骨な美しさ」なんです。
何かを真似たものではなく、極限まで機能性を高めた“パイオニア メーカー”だからこそ持つ、
「軍用パイロットウォッチ」のシンプルで理にかなった美しさが「クラシック シリーズ」にはあります。
この無骨な美しさに、世の男性たちは惚れてしまうのです(笑)
そこに今の時代を象徴する色やベルト素材を組み合わせ、現代風にアレンジされたデザインも追加されています。
クラシックの商品ラインは、こちらになります。
②トップガン
“トップガン”といえば、トム・クルーズが主演した同名の映画(1986年)をすぐに思い浮かべてしまう山本です。
映画の続編もコロナ禍で公開が遅れてはいますが、今後公開されるそうですので楽しみに待ちましょう。
映画の事を知らない20代の時計ファンの方も、ぜひご覧になってくださいね。
映画の舞台にもなったアメリカ海軍の戦闘機搭乗員養成機関であるNFWS(通称TOP GUN)へのオマージュモデルであり、
このコレクションの特徴は、「セラミックケース」になります。
トップガンのモデルでは、エリートパイロット達が行う極限の負荷に耐えられるよう、
キズが付きにくく耐久性、腐食性に優れた素材であるセラミックを採用したのはもちろん、
基本となるブラックセラミックは太陽光の反射を防止し、パイロットの視認性を確実に確保することも可能となります。
機能性とデザインが上手くマッチし、かつ素材の持つ独特な高級感を、見る人に感じさせてくれる優れた1本です。
トップガンの商品ラインは、こちらになります。
③スピットファイア
イギリスの歴史を変え「救国の英雄」とも言われる第二次大戦時の戦闘機「スピットファイア」へのオマージュモデル。
スピットファイアは航空機開発史上、最も洗練された戦闘機のひとつと評価されております。
英国空軍 (RAF)の依頼を受け、1948年に開発されたIWC歴代の名機の1つ「マーク11」のデザインを色濃く受け継いでいるのが、こちらの「スピットファイア」です。
特におススメは布製ストラップモデル。
こちらのカラーは「スピットファイア」の機体カラーからインスパイアされています。
IWCのスピリットとも呼べる名機「マークⅪ」のイメージにも近く、そこに古い戦闘機の持つ変わらない美しさをスパイスとした極上のパイロットウォッチなんです。
スピットファイアの商品ラインは、こちらになります。
④プティ・プランス
フランス人の飛行士・小説家であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説名「星の王子さま」をモチーフとしたモデル。
この小説が持つ幻想的な世界観をミッドナイトブルーの文字盤で表現しております。
光の加減でブルーの濃さが変わる文字盤がもつ美しさは、このラインナップの魅力ですね。
プティ・プランスの商品ラインは、こちらになります。
⑤アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ
アイコンでもあるタバコブラウンの文字盤が印象的な「アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ」
フランスを代表する偉大な飛行家に捧げるトリビュートモデルです。
裏蓋には、生涯最後の搭乗機となったP-38の機影が刻印されています。
アントワーヌ・ド・サンテグジュペリの商品ラインは、こちらになります。
ポルトギーゼ
パイロットウォッチと双璧をなす人気シリーズが「ポルトギーゼ」になります。
ここではIWCのベストセラー商品「ポルトギーゼ・クロノグラフ」に焦点を当てながら、このシリーズの歴史的背景や詳しいシリーズラインについてご説明させて頂きますね。
現在のIWCで最も人気のある商品はこちらの「ポルトギーゼ・クロノグラフ」です。
こちらの時計の一番の魅力は、やはりそのデザイン。
とにかく「シンプルで上品」。ファッションにおいても、TPOの幅が広く、
ビジネスでのフォーマルシーンは勿論、デイリーユースとしてもきらりと光る完成された時計だと思います。
またIWCのブランドバリューも年々上昇し、昔からの時計ファン以外にも高級時計としての認知が凄く高まっていると思います。
「ポルトギーゼ・クロノグラフ」バリエーションはこちら。
カラーバリエーションも増え、現行ラインナップは本当に充実しています!
皆様を魅了し続けるこのデザインは、いったいどのようにして生まれてきたのか?
そこにはシリーズの歴史やブランドのバックボーンも少なからず影響しております。
まずは、なぜ40mmオーバーのケースサイズになったのか、
1939年の始まりから見ていきましょう。
こちらが一番最初のポルトギーゼです。
1930年代の終わりに、2人のポルトガル商人がIWCを訪れました。
当時の精度としては最高峰であったマリンクロノメーターと等しい精度の時計を制作して欲しいと。
当時の腕時計は、まだまだ創成期の段階で高い精度を求める場合には、旧来からあり信頼性の高い「懐中時計用のムーブメント」を使用することが多く、
このポルトギーゼもポケットウォッチ用のムーブメント(Cal.74)が搭載されました。
その結果、当時としては非常に大きい42mmというケース径になったのです。
現行の「ポルトギーゼ・クロノグラフ」は41mmなので、オリジナルとほぼ同じDNAを持っていることになりますね。
次に特筆すべき点は、高い精度をしっかり伝えるため「視認性」にこだわったデザインであること。
この時計のデザインで中心になるのは「ダイアル(文字盤)」です。
そこを強調する為に生まれたプロダクトこそが、この時計ならではの美しさを作り上げます。
「ベゼル」や「リューズ」、「プッシャー」は強調するのではなく、あくまで控えめに設計されており、正面から見た際、ダイアルに全ての視線が集まるよう計算されております。
ダイアル(文字盤)部で注目すべきは、アップライトのアラビア数字ではないでしょうか。
初期モデルも、現行のモデルも、比較的小さなアラビア数字を使用しているのですが、とても見やすく、かつ小ささを感じさせません。
またダイアル上には、計算された「余白の美しさ」があり、これこそが上品さを際立たせてくれている重要なファクターなのではないかと思います。
フォントもとても美しく、シャフハウゼンのブランドだからこそ生まれたんだろうなと感じさせてくれます。
また、この時計ならではのポイントも、二つほどあります。
見てもらうと分かるんですが、12と6の数字が欠けているんですよね。
そもそも数字がなくてもここは問題なく分かる場所だと思うんですが、あえて半分残している(笑)
12と6が全くないデザインよりも、半分欠けたこの方が、絶妙なバランスを醸し出している気がするんです。
そしてその状況を作り上げた縦に並ぶ2カウンター。
現在のクロノグラフ(時計+ストップウォッチがついたモデル)は、やはり3カウンターのモデルが多く、2カウンターは正直多くはないです。
しかも縦に並べたカウンターはシンプルですが、この時計の大きな個性になっております。
それではここからは、「ポルトギーゼ・クロノグラフ」以外の商品をご紹介していきます。
クロノグラフモデルと同じく人気のモデルがこちらの3針モデル。
直径は約40mmと絶妙なサイズ感で、シンプルかつ上品なデザインが魅力です。
フォーマルなファッションは勿論、キレイ目なカジュアルにもぜひ合わせてみて欲しいですね。
7日巻きのロングパワーリザーブを持つこのモデルは、裏蓋からはシースルーバック越しにIWCの自社キャリバー(52010)を眺めることが出来ます。
ムーブメントはコンプリケーションモデルのベースになっているIWCを代表するムーブメントの1つです。
ポルトギーゼのコレクションらしいシンプルな外観はそのままで、フライバック機能を有する、より高精度なクロノグラフ・ムーブメントを搭載しています。
12時位置にあるスモールセコンドで、計測時間をより分かりやすく、表示してくれます。
ひとつ上の高級感が漂う上級モデルです。
ラバーベルトやブレスなど、ポルトギーゼの持つ「シンプルな上品さ」に高級感の漂うスポーティーさを加えた逸品だと思います。
6気圧防水なのもポイントで、夏も含め湿気の多い日本で使いやすい一本ですね。
ここからは、コンプリケーション(複雑機構)モデルのご紹介です。
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ポルトギーゼ・アニュアル・カレンダー -
ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42 -
ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー -
ポルトギーゼ・ミニッツ・リピーター -
ポルトギーゼ・トゥールビヨン・レトログラード・クロノグラフ -
ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー・トゥールビヨン -
ポルトギーゼ・トゥールビヨン・ミステール・レトログラード -
ポルトギーゼ・グランド・コンプリケーション -
ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア
IWCの技術の粋がつまったコレクションですね。
ポートフィノ
絵のように美しいイタリアの港街の名前をもつ「ポートフィノ・コレクション」。
価格帯から見るとエントリーライン的な位置づけながら、落ち着いた佇まいで「洗練された美しさ」を表現しています。
時計好きの間でも、ドレスウォッチとしての評価はかなり高い時計です。
ビジネスカジュアルでもカッコいい!
シンプルながらアップライトのインデックスはやはり良いですね。
視認性も上がりますし、クラシカルで高級感もアップします。
こういう無駄のないデザインは特に、IWCのブランドストーリーが伝わりやすいのではないかと思います。
ポートフィノの物語は、1970年代後半に始まります。
この時代はクォーツ時計や大胆なデザインの製品が多い時期になります。
そんな時代でも、伝統的なクラシックでシンプルな時計を求める声は少なからずありました。
そうした声にこたえる形で、IWCは1984年にポートフィノのファーストモデルを発表します。
こちらの時計は、IWCが過去に制作した懐中時計「レピーヌ」をベースにデザインされております。
だからこそ、このクラシカルな美しさが生まれたんだろうなと思います。
それでは「ポートフィノ」の商品ラインをご紹介していきますね。
最もシンプルな3針デイト付きモデル。
懐中時計の時代を彷彿させるノスタルジックさとモダンなシンプルデザインが同居し、この時計ならではの美しさがあります。
無駄がない故に生まれた、独特な“クラシックモダンの味わい”を感じることが出来る時計です。
こちらもシンプルでクラシックなデザインですが、文字盤を見ていくと凄く凝った作りが随所に見られます。
例えば、デイデイトの二つ窓も、ふちが広がるようにデザインされており、視認性の高さに繋がっています。
スモールカウンターも繊細なデザインを施しており、上質な美しさを醸し出すことに一役買っていますし、プッシャーやリューズもいい意味でレトロ感と、ひと目で使い方がわかるようなプロダクトデザインになっています。
ポートフィノのフラッグシップモデルとして開発されたこちらのモデルは、シンプルな中にも複雑時計の持つ美しさがあります。
IWCではめずらしいのですが、扇型のパワーリザーブと対をなすように、文字盤にシリーズ名である「PORTOFINO」の名前が刻まれております。
ポートフィーノのコレクションでは、綺麗なリーフ型の針が使われていますが、個人的にはこちらのモデルを見る時に一番美しく感じます。
このモデルには8日間のパワーリザーブを持つ、IWCの自社製手巻きムーブメント、キャリバー59210が搭載されています。
12時位置に、月の満ち欠け(満月や新月など)が分かるムーンフェイズが搭載されたモデル。
本当にシンプルなデザインの中に、どこかレトロな「月相」が入ることで、独自の美しさを醸し出してくれます。
ポートフィノのフラッグシップモデルに、初期モデルにも搭載されていたムーンフェイズが追加されました。
1984年に誕生した「ポートフィノ」へのトリビュートモデルになります。
よりコンプリケーション(複雑機構)らしいデザインとなり、クラシカルで高級感ある美しさが魅力です。
直径が34mmと女性らしさを意識したデザインの「ポートフィノ・オートマティック 34」。
文字盤には12個のダイヤモンドがアワーマーカーとして配置されています。
日本女性の手首だと少しボーイッシュな印象ですが、クラシックな魅力と女性らしさが上手く融合した商品です。
直径は37mmとユニセックスなサイズ感が魅力の「ポートフィノ・オートマティック 37」。
こちらもアワーマーカーとして12個のダイヤモンドがあしらわれております。
「女性向けのムーンフェイズ」というコンセプトで制作されたこちらのモデルは、IWCのデザインに対する既成概念を変化させたモデルではないでしょうか。
アワーマーカーのダイヤモンドに合わせて、より星空をイメージさせる文字盤のデザインは、このモデルだけの特別感を感じます。
ダ・ヴィンチ
ダ・ヴィンチもIWCを代表するコレクションの1つとなります。
時計好きの方だと、「ダ・ヴィンチといえば永久カレンダー」というイメージがあるのではないでしょうか。
実際、永久カレンダーを検討する際には、必ず候補の1つに入る時計だと思います。
3大複雑機構の1つに数えられる「永久カレンダー」
昔から多くの時計師が、この難題なテーマに挑戦してきた歴史があります。
時計が「動き続ける限り」、永久的にカレンダーを正確に表示させる。
ただカレンダーを正しく表示させるだけなら、電化製品で十分事足りるのですが、
長く長く、修理が可能な機械式時計だからこそ、「永久」という機構にロマンが生まれるのでしょうね。
特にIWCの様に、古い時計の修理に真摯に向き合うメーカーであればあるほど、「永久」という言葉に重みが増して、
メーカーがその機構に対する“本気”を感じることが出来ます。
またそれ以外にも、シンプルでエレガントな3針モデルもありますので、バリエーションも多いコレクションではないかと思います。
それでは、ダ・ヴィンチの歴史についてまずは簡単にご紹介させて頂きます。
まずはこちら、1985年に登場したダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダーです。
ダ・ヴィンチの名を時計業界で、一躍有名にさせた革新的なモデルです。
4桁の西暦表示は「ダ・ヴィンチ」の代名詞でもあり、
この時計は動き続ける限り、常に「〇年〇月〇日〇曜日〇時〇分〇秒」という“今この瞬間”を表示し続けます。
勿論、実際に未来永劫、表示し続けることは不可能です。
※閏年の西暦年(例えば2100年)の調整や、何万年も先までの表示は考えていない
また、この時計には永久カレンダーのセンチュリースライドに、20〇〇、21〇〇、22〇〇まで搭載されております。
つまり、2200年代までの約300年先を見据えて作られているわけです。
※勿論2299年に、この時計が、実際動き続けているかはどうかは分かりませんよ。
ただ、「動き続けているかもしれない」というロマンは感じることが出来ます(笑)
また、このダ・ヴィンチの永久カレンダーモデルには、その先2300年から2599年まで対応できる付属パーツが付いています。
なんと、500年以上も先のことまで考えらているんです。
※再度言います。未来は分かりませんが、ここに男のロマンを感じてください(笑)
また、西暦表示以外にも、複雑機構をコンパクトにモジュール化しリューズのみで全ての調整を可能にしたりと、革新的なアイディアで世界を驚かせました。
こちらの開発には、IWCの歴代の技術者の中でも1,2を争う「クルト・クラウス」氏が関わられております。
時計業界に大きな影響を与えた技術者の一人です。
ちなみに過去には、我々アイアイイスズの店舗にもご訪問頂き、
我々のお店を「素晴らしい」と評価頂き、私(クラウス氏)が顧客なら、この店で時計を買いたいとまで、おっしゃって頂きました。
また実際に私共の顧客様に対して、製品プレゼンテーションを行って頂いたり、カスタマーとリラックスした歓談をして下さったりと、
我々にとっても光栄で、かつ思い出深い技術者のお一人だと思います。
それではここからはラインナップ別にご紹介していきます。
まずは、シンプルなモデルからです。
IWCらしいシンプルでノスタルジックな佇まいが味わい深い一本です。
視認性の良さはもちろんですが、滑らかなブレスレットならではの着け心地のよさも魅力です。
IWCのフラッグシップモデルの1つで、多くの時計ファンにとって、垂涎のモデルの1つです。
デザイン自体は、何度かのモデルチェンジを経て、現行デザインになっていますが、
「複雑時計ならではの高級感」をしっかりと醸し出してくれる、とても美しいコンプリケーションウォッチへと変貌した印象です。
ケース径が36mmの女性向けモデル。こちらもメンズ同様にシンプルでノスタルジックな佇まいが魅力です。
ベゼルにダイヤモンドをあしらったよりエレガントなモデルもございます。
オートマティック 36の12時位置に、ムーンフェイズが配置されたモデル。
ムーンフェイズのバランスが絶妙で、とてもクラシカルで美しい1本です。
アクアタイマー
IWCのダイバーズコレクションが、アクアタイマーになります。
こちらも前身の「ポルシェ・デザイン・オーシャン 2000」では、長らく2000M防水を誇る最強ダイバーズウォッチの名を欲しいままにした、IWCを代表するシリーズです。
機能性を最大限に高めて名声を得たこちらのモデルから、アクアタイマーへと進化しています。
インヂュニアでも思いましたが昔と違ってオーバースペックなプロユースモデルとしての位置づけから、
よりデイリーユースでの使いやすさやシンプルで飽きのこないスポーツ・ラグジュアリーな時計へと進化しております。
1990年代にはそのカテゴリーの覇者として君臨していたモデルですので、
せめてワンアイテムでもいいので、シンボリックなモデルを継続出来たら嬉しいなと、いち時計ファンとしては思ってしまいます。
ただ、この変化は、時代の流れから行われたものなので、今後もIWCは「新たな進化」へと挑戦し続けるのでしょうね。
それは、決してプロユースへの挑戦という形ではないかもしれませんが、様々な社会貢献に賛同し、取り組み続けるIWCならではの進化となるのではないでしょうか。
それでは、現行のアクアタイマーのご紹介です。
どちらもシンプルで、とても上品なダイバーズウォッチだと思います。
視認性をしっかりと持たせたインナーベゼルは、誤動作防止のための新しい「セーフダイブ・システム付きのインナーベゼル」になります。
オンタイムでも様になる、ラグスポの美しさが魅力的な1本です。
IWCの成り立ち
それでは、ここからはブランドの歴史についてお話していきます。
ボストンの時計会社、ハワードカンパニーの元副社長だったF・A・ジョーンズは南北戦争等で時計──この時はポケットウォッチでしたが、時間を知ることが非常に大きなビジネスになると考えていました。
米国市場に向けた質の高いパーフェクトウォッチ作ることを目標に、アプローチとしてスイスの時計職人の技術に着目していたところに先見の明を窺えます。
27歳でビジネス立ち上げのためにスイスへ移住しますが、ジュネーブやジュラ渓谷という(時計産業の盛んなエリア)では土地柄、彼の新しいアイデアを受け入れる体質がありませんでした。
そんな中、偶然、ル・ロックルでハインリッヒ・モーザーと出会い、シャフハウゼンという選択肢・水力発電ができる取引先を得ます。
お互いの利益が合致したF・A・ジョーンズとハインリッヒ・モーザーはビジネスをスタートさせることができました。
また、シャフハウゼンには教会用の大きな時計を作る時計職人の子孫もいたため、技術者も得てIWCを立ち上げることが叶ったのです。
IWCのパイオニア精神
F・A・ジョーンズのアメリカ人としてのフロンティア精神は、実業家としても通ずるものがありました。
代表作であるジョーンズ・キャリバーと呼ばれるポケットウォッチの機械は緩急針が非常に長く、4分の3プレートが特徴です。
このキャリバーも、今でも修復可能であることは、IWCのブランドとしての誇りでもあります。
また、1885年にオーストリアの時計職人、パルウェーバーが開発したポケットウォッチのデジタル式表示システムをIWCが買い取り、製品化したこともあります。
当時としては非常に革新的なものであり、このシステムをIWC150周年モデルとして腕時計でリリースしたのも記憶に新しいのではないでしょうか。
IWCを作り上げた人々
F・A・ジョーンズが設立した会社は三代に渡ってホムバーガーファミリーが受け継ぐこととなります。
IWCでは経営者やオーナーカンパニーの変動はあれど、アルバート・ペラトンをはじめとした技術者の精神が引き継がれ、現在のIWCを形作っているのです。
正確な時計が欲しいのか、あるいはそうでない時計が欲しいのか
技術責任者としてIWCへ入社したアルバート・ペラトンは1946年、彼の最大の仕事としてペラトン式自動巻き機構を作り上げました。
また、ペラトン式自動巻き機構は開発と同年に特許を取っています。
1948年にキャリバー89という薄型の手巻きムーブメントをマーク11に搭載。
軟鉄製のインナーケースと搭載することで耐磁性能をもたせた時計を作り出しました。
そして、発明から4年経った1950年、キャリバー85というペラトン式自動巻き機構のムーブメントを製品化します。
アイデアとして生まれたものを即市場へ出すのではなく、時間をかけて熟成させ、完成度を高めてから製品として出す。
そのような考え方をもっていたのがアルバート・ペラトンという人でした。
彼は完璧主義者であり、非常に頑固で自分の考え方をしっかりともった人物であることでも知られています。
薄型の時計が人気を集め、かつ売れていたため、経営陣は「IWCでも薄型の腕時計を製品として売り出せば利益が出るのでは」と考えたのです。
そして、アルバート・ペラトンをはじめとする技術者に薄型の時計の製作を要望として出していました。
それに対してアルバート・ペラトンは「正確な時計が欲しいのか、あるいはそうでない時計が欲しいのか」と返してその要望を断ってしまいました。
その理由として、彼の考え方に「中の機械をしっかりと、部品も多く厚く、機械全体もしっかりしたものを作るということが耐久性であり、精度を保つことができる」ということがあります。
その後、アルバート・ペラトンの考え方は、弟子にあたるクルト・クラウスに受け継がれてゆくこととなるのです。
リューズ一つで全ての操作ができる永久カレンダー
次にIWCにとって重要な技術者として出てくるのが、ペラトンの哲学を受け継いだクルト・クラウスです。
彼の在職中の最大の仕事は1985年に永久カレンダーモデルを開発したことにあります。
当時、他社でも永久カレンダーというものは少なからず存在しましたが、普通の永久カレンダーでは面白みがないと考え、クロノグラフをベースに、全く違う機構を開発しました。
クルト・クラウスが考えた永久カレンダーは、クロノグラフにモジュールと言う形で永久カレンダーのシステムを組み込むため、カレンダーが一日一回変わるタイミングで全て永久カレンダーのシステムが作用し、リューズ一つで全ての操作ができるものです。
これはクルト・クラウス一番の功績で、1985年のダ・ヴィンチに搭載されました。
577年に1日しか狂わないムーンフェイズ等に発展して活躍しながら、更に北半球、南半球でムーンフェイズが指す形が違うといったものを表すことができるものも存在します。
つまり、IWCの技術者のスピリットは一貫してアルバート・ペラトンの哲学を脈々と受け継ぎ、それに基づいたモノづくりを行っているのです。
そしてそれこそが、IWCの強みであると言えます。
経営者サイドでは、先述の通りF・A・ジョーンズの後、三代にわたりホムバーガーファミリーがIWCを受け継いでいくこととなります。
1980年代初頭には鉄鋼や通信を扱うドイツ系のマンネスマングループがIWCを買い取るのですが、その時にIWC、ジャガー・ルクルト、A.ランゲ&ゾーネを含めたLMH(Les Manufactures Horlogéres)というひとつの時計部門が作られました。
クォーツ式最盛期に道を示した人物
ドイツが東西に分かれた際、国営会社となって接収されてしまったために無くなったA.ランゲ&ゾーネを復興させた立役者です。
クォーツ式時計が最盛期であり、機械式時計にとって厳しい時代にセラミックケースのパイロットウォッチを発売するなど、道を示した人物でもあります。
因みに、彼がセラミックケースのウォッチを発売するに至ったことについては、少し面白いエピソードがあります。
実は、ギュンター・ブルムラインはセラミックケースの腕時計の強度について懸念していました。
そこで、当時の彼のオフィス──二階の部屋の窓から、出来上がったセラミックケースの腕時計を投げてしまったのです。
手元に戻ってきた時計が無事であったことを確認し、彼はセラミックを用いたウォッチの発売に踏み切ります。
なお、この時投げられ、無事に戻った時計はギュンター・ブルムライン自らが買い取り、奥様にプレゼントしたとか。
また、ご存知の方も多いと思いますが、A.ランゲ&ゾーネの再興の際には、IWCとジャガールクルトがサポートしておりました。
当時のIWCの技術責任者でもあったクルト・クラウス氏も、勿論、関わりが深かったのではないかと思われます。
そんなクラウス氏がアイアイイスズに来店した際の話です。
弊社の担当者が、”氏にとってA.ランゲ&ゾーネはどんな存在なんですか?”と質問したことがありました。
すると「IWCは私の子供で、A.ランゲ&ゾーネは孫のようなものです」とお答えいただいたそうです。
時計への愛しさが溢れる、クラウス氏ならではの回答だと感じました。
クルト・クラウス氏の温かい言葉を思い出して少し余談となってしまいましたが、
ギュンター・ブルムライン以降の経営者はと言うと、ジョージ・カーン、クリストフ・グランジェ・ヘアと続きます。
IWCを一流ブランドに引き上げた功績者
ジョージ・カーンは、いわゆる「知る人ぞ知るブランド」だったIWCを一流ブランドに引き上げた功績者です。
しかし、高級ブランドと言えるのか分からない、そういった微妙なスタンスだったものをブランドとして一流のものへ立ち上げていったのが、当時の社長を引き継いだジョージ・カーン氏です。
リシュモングループと言う一つの力はありましたが、一流ブランドとしての確立をなし得たのは、やはりジョージ・カーンの存在が大きいのではないでしょうか。
また、IWCの6つのファミリーにおけるそれぞれの特徴をさらに深掘りし、商品のラインナップを強く打ち出したのも彼の大きな仕事の一つです。
社長を務めていた20年の間で売上も健闘したことも、彼の功績に数えられます。
加えて、そう言った仕事と並行して世界のセレブリティーとの関りを持ち、よりIWCと言うものを広めてゆく役割をこなしていた人物がジョージ・カーンと言う人なのです。
リーダーシップに長けた現社長へ
そして、現社長クリストフ・グランジェ・ヘアへと移行し、現在に至ります。
IWCに10年勤め、ジョージ・カーンの下で働いていました。
もともと建築を専門にしており、店舗のコンセプトやデザインなどを担当していた方です。
クリストフ・グランジェ・ヘア氏はそれぞれの部署のやりたいことや意見を吸い上げ、まとめていく、そう言ったリーダーシップに長けた人物だそうです。
IWCの中では、彼が社長になってからそれぞれの部署がアクティブになったという話も、ちらりとうかがいました。
このように、様々な才能溢れる人々によって今のIWCが築き上げられているのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
このブログが、これからIWCの時計を購入される方のお役に立てると嬉しいです!
最後までご拝読頂き、誠にありがとうございました。
また、ご購入前にご質問がありましたら、メールでもお電話でも構いませんので、
ぜひ私共までご連絡頂けましたらと思います。
それでは、またお会いしましょう!
この記事の監修者
- 山本 公一郎(ヤマモト コウイチロウ)
株式会社アイアイイスズ.HD
EYE-EYE-ISUZU G-Time店長
- 香川県出身
大学を卒業後、外資系製薬会社MRを経て、アイアイイスズに入社。
25年以上のキャリアを持ち、スイスの高級機械式時計からG-SHOCKまで、腕時計に関する幅広い見識を持つ。
店舗のHPはこちらhttps://eye-eye-isuzu.co.jp/gtime/
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