皆さんはブルガリの腕時計と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
などなど、ブルガリには様々な魅力があります。
ただ一方で、
「カッコいいけど、品質はどうなんだろう」
「ブルガリの時計って、どんな人が着けているんだろう」
「スーパーブランドの腕時計って、普段でも着けられるかなぁ」
といったご質問をよくいただきます。
今回は、イタリアが誇るスーパーブランド「ブルガリの腕時計」について、専門店の店長から見たその魅力をご紹介させて頂きます。
イタリアが誇る 唯一無二のブランド【BVLGARI ブルガリ】
改めまして、アイアイイスズの山本です。
まずは簡単にブランドのおさらいから。
ブルガリは世界五大ジュエラーに数えられる極上のジュエリーをはじめ、人気の腕時計、香水、財布など魅力あふれる逸品たちで世界を魅了し続けています。
また、近年はホテル事業も大変な話題となっており、これぞブルガリと言えるスケールの大きな世界観も魅力です。
そもそも「人生を楽しむ」ということがブルガリのDNAであり、日々、世界中の人々の心を豊かにしてくれています。
また、他ブランドとのタイアップやアンバサダーの選択1つとっても、目の付け所が本当に素晴らしいなと思います。
確実に「今のカッコよさ」を提案できるブランドだと思います。
国内でも、木村拓哉さんと工藤静香さんの次女として話題のKōkiさんを、初めてアンバサダー起用したのもブルガリでした。
そのアンテナの高さや先見の明は、凄すぎるとしか言いようがないです!
腕時計に関しても、大胆なイタリアンデザインとスイスの高い技術力を融合させた傑作品として、世界中のファンに愛されております。
今回は、
という流れでご紹介させて頂きます。
それでは、早速ブルガリウォッチの魅力についてご紹介していきます。
時計店のスタッフ目線から見たブルガリウォッチ
まずは、ブルガリの腕時計ですが、普段どんな感じでお客様とのお話がスタートするかと言いますと
もちろん、ダイレクトに ブルガリの時計を見に来た! ってお客様もいらっしゃいますが、結構こちらからご紹介させて頂くことが多いです。
一部の人にはブルガリ?って思われるかもしれませんが、
特に<オクト>コレクションは、アイアイイスズに普段から遊びに来て頂いている機械式時計が好きなお客様にも、納得してもらえる高スペックですし、そこにデザインの良さが加わってますという流れでお話させてもらってます。
実際、オクトはフィニッシモでなくても“語れる”部分が多い商品だと思います。
110面体ものケースカットであったり
文字盤に何層も重ね塗りを施すラッカー仕上げなど
「名門機械式時計ブランドでも、なかなかそこまでやっていないよね。」という工程を経て、美しさが際立つ製品が出来上がっているんですよね。
スイスの伝統工芸である機械式時計というよりも、そこに芸術的な意味合いを重ね合わせた腕時計だと思ってます。
機械的なお話ですと、オクトに搭載されたムーブメントは、実際にスイスでも高く評価されており、今までに何度も賞に輝いています。
ただ、純粋な機械だけの良さを視点にしてしまうと、伝統的な技法にそったランゲ&ゾーネやパテック・フィリップなどとは、またちょっと趣が異なります。
最高のデザインを具現化するために開発されたムーブメントなんですが、知れば知るほど「やるねBVLGARI」って、どこかの自動車メーカーのキャッチコピーが浮かんできます。
実際にブルガリを着けている人を見た時、私がどう感じるかなんですけど、
時計店のいち販売員目線で恐縮ですが、
今、ブルガリの時計を着けている人を見ると“余裕”を感じます。
これはどういう意味かと言いますと、
特に男性のお客様なんですけど、『時計を買う人』『時計が好きな人』ってのは、たいてい時計メーカーから入って、「時計メーカーじゃないといけない」となって、
「ブルガリは宝飾ブランドだから…」ということで避けてる人が多いと思うんですけど
それを全て分かった上で、着けているその“余裕”がとてもカッコいいなぁって思います。
結局は着けるだけで、その人のカッコよさに繋がっているんだと思います。
デザインはカッコいいけど、ブルガリでしょう?って避けているのは「ほんともったいないですよ」っていつもお話しています。
勿論、それだけ(デザインだけ)では納得しない人も多いと思います。
でも、うちのお客様はある程度の時計を、ちゃんと持っている方が多いので、その上でブルガリを選択をする“余裕”、ここが一番カッコいいなぁと思います。
発売当時の広告イメージ
1990年代の後半に一度大流行した「ブルガリ ダイバー」や「アルミニウム」。
当時は、キザっぽさが似合う色気あるお客様層に、ピタリとはまっている感じがありました。
実際、夜の街が似合うイメージありましたしねw
今のブルガリは、そうしたトレンドに敏感な人への提案というよりも、もっと大人の方への提案があるんじゃないかなと思っています。
カッコよさを求めているという点では、あの頃と同じなんですけど、
キザなイメージや、カッコがつくイメージではなく、今は
そこまで“いかにも”ではない「洗練されたカッコよさ」 があるんじゃないかなと思います。
ここまでは男性のお客様にお話させて頂く場合によくお伝えしていること。
次は女性のお客様にお話させて頂く時にお伝えしていることです。
男性はこだわりがある方が多いんですけど、女性のお客様の場合、そこまで腕時計にこだわっていない方が多い印象です。
普段の接客で一番多いのは、「いい時計を初めて見に来たんです」ってパターンでしょうか。
個人的に良いと思うのは、デザイン(アイデンティティ)が確立されているもの
分かりやすく言うと何十年経ってもデザインが変わっていない時計を1本目に選んで欲しいなって思います。
何十年とデザインが変わらないということは、いつの時代の人が見ても美しいと感じる秀逸なデザインだからだと思います。
で、こうした不変のデザインを持つレディースウォッチって、
- カルティエのタンクフランセーズ
- ブルガリのブルガリ・ブルガリ
- シャネルのJ12
・・・ぐらいなんですよね。
こうして製品をあげてみたら、ほとんどが宝飾系のブランドなんです。
デザイン力が高いブランドが手掛けているものは、ここは時計メーカーでは真似できないレベルのものがあって、“不変の輝き”を持つことが出来るんじゃないかなと思います。
正直、どれも“名作”ですよ!
その中でもブルガリの良さを言うと、フランスのブランドよりも、
1歩も2歩も攻めた“無難じゃないカッコよさ”があります。
長く時計に興味を持っている方にとっては、ブルガリ・ブルガリは、見慣れた当たり前のデザインかもしれないけれど、やっぱり他のブランドとは違う“何か”があるんじゃないかと思っています。
実際、時計のブランドでイタリアってそう無いんですよね。
メジャーならパネライぐらいですもの。
だからこそ、イタリアンデザインは、オーナーの個性を引き立たせるんだって、いつも感じます。
それとブルガリというブランド自体、もの凄いセンスを持っていると思います。
ブルガリの時計を持っていることが、あなたのセンスも引き立ててくれるんじゃないでしょうか。
実際に過去のタイアップモデルや、アンバサーダーのチョイスを見ても、目のつけどころが凄いと思います。
例えば、2014年のマセラッティとの限定モデルしかり、2015年のオールブラックスとのコラボモデルもそう!
ブルガリ オクト マセラティ クロノグラフ(2014年)
ブルガリ オクト オールブラックス(2015年)
そこ”今”いくんだ!早すぎでしょう!なんて、当時は思いましたし、
今ならもっとこのコラボモデルの凄さが僕たちに響きます。
またパートナーというか、アンバサダーのチョイスもやっぱり凄くて、
安藤忠雄さんや、昨年の藤原ヒロシさんとのコラボモデルも本当にカッコいい!
安藤忠雄 x ブルガリ オクト フィニッシモ(2019年)
FRAGMENT x BVLGARI ブルガリ・ブルガリ 日本限定モデル(2020年)
「FRAGMENT x BVLGARI ブルガリ・ブルガリ 日本限定モデル」は、ブルガリの時計製作技術の核心に藤原ヒロシの革新的アプローチを持ち込み、制作されました。
商品詳細はこちら
藤原さんのモデルなんか、ベースはブルガリ・ブルガリなんだけど、ほんのひとひねりで、斬新に変化させてしまうデザインセンスにめちゃくちゃ感動しました。
ほんの少しのひねりを加えるだけで、こんなにカッコ良くなるんだってびっくりしました。
ブルガリは「今、カッコいいこと」をちゃんと知っていて、
それをきちんと形にして提案できる唯一無二のメーカーだと思います。
極端な話、何も時計が分からなくても、ブルガリが提案する今のカッコよさ(限定コラボモデル)に乗っかって買い続けておけば、
結果、凄いコレクションになるんじゃないかなって思います。
それでは、ブルガリが提案する「今のカッコよさ」を、実際の商品でここからはご紹介していきます。
各シリーズのご紹介
まずはざっくりとラインナップをご紹介させて頂きますね。
メンズ
まずはメンズウォッチのコレクションからご紹介です。
オクト
まずはブルガリのメンズウォッチを代表するオクトからです。
ブルガリの腕時計は40年ほど前から、スイスに生産拠点を構えております。
現在では、高級時計で有名なアトリエの流れをくむ素晴らしいファクトリーを含め、3つのエリアに拠点があります。
ル・サンティエ、セーニュレジエ、ヌーシャテル
この辺りの事については、後に出てくる「イタリアのデザインとスイス技術の融合」で詳しくご紹介しておりますのでご覧ください。
最初にラインナップの確認ですが、オクトは現在3つのシリーズに分類されます。
オクトを紹介させて頂く場合には、デザイン側とムーブメント側の両面からお話していかないといけません。
オクトのデザイン
まずはデザインについてです。
こちらがオクトをデザインしたブルガリのデザイナーであるファブリツィオさんです。
元々、イタリアのカーデザイナーから転身された経歴をもち、時計デザイナーとしては異色の方です。
※彼の信念は「いかに美しくシンプルで使いやすいか」
オクトに関しても彼のポリシーが色濃く反映されています。
まずは、シリーズ共通の「8角形という独特なデザイン」が生まれた背景についてですが、
ブルガリのデザインの根幹には、ローマという街の存在が大きく影響しています。
ローマはありとあらゆる年代の建造物が街中に数多く残っており、美を学ぶにもっともふさわしい街のひとつですが、このオクトも実際の建造物からインスパイアされ、デザイン設計されました。
イタリアの伊達男たちが愛するエレガントな装いでも似合うよう、
シャツの袖もとにおさまるエクストラ・フラットウォッチ(極薄時計)でデザイン設計し、
かつローマの造詣美をこの極薄の世界に散りばめた時計だと思います。
オクトのデザイン面でのポイントをまとめてみました。
- 110面の立体構造(ローマは58面)
- 光が織りなす大人の色気
- 色へのこだわり
- 素材に関係するこだわり
110面の立体構造(ローマは58面)
実はこのオクトのケースは110面もの複雑なファセット(面)で構成されております。
こうした数多くのファセットを利用するデザインは、ローマのハイジュエラーならではの美意識でしょう。
また世界最薄のレコードを記録するほどの薄型時計にもかかわらず、
ミクロの世界に込められた立体構造の素晴らしさに、本当に驚かされます。
光が織りなす大人の色気
オリジナーレとローマの文字盤に描かれるインデックスを興味深く覗いてみてみましょう。(フィニッシモはスタンプなので異なります)
インデックスも実は、磨き方の違う2枚のパーツが貼り合わせられています。
上側のパーツはサテン仕上げ(つや消し)で、下側がポリッシュ仕上げ(つやあり)になっています。
しかも下側のパーツは少し飛び出していますよね。
ここ、大事なポイントです。
この飛び出したパーツの角に、光があたることで、美しく輝くように細かく計算されているデザインなんです。
これを少し暗いところ(トーンダウンしたところ)で、この文字盤を見て欲しいんです!
この輝きは、ギラっとしたものでなく、キラっとあたかもダイヤモンドがそこについているような輝きかたをするんです。
これはジュエラーとして光を計算してデザインする技術があるからこそ生まれてくるアイディアです。
いかに光を計算して、エレガントな輝きを演出するか、そうした美しさに、とことんこだわっています。
また、リューズにも輝きへのこだわりが反映されております。
ねじ込み式でかつ複数の突起があるにも関わらず、一つ一つがすごく磨かれています。
どちらも少し暗い所で綺麗に輝くように設計されているんですが、男性がその輝きを必要とする場面は、どんなところでしょうか?
例えばプレゼン、または会食シーンなどではないでしょうか。
ビジネスでも男性の腕時計は見られていると思うんです。
プレゼンでは身振り手振りも使いますから、手をすごく動かすでしょうし、会食でならば、手元は特に見られやすいでしょう。
そういった時にブルガリの輝きが、周りの人により重厚感を伝えてくれるんじゃないかと思います。
こんな時計を一本お持ちいただくのも、素敵じゃないですか。
技術だけの素晴らしい時計はたくさんあるけれど、光をも利用してエレガントな輝きを生み出す時計は、このオクトしかないんじゃないでしょうか。
色へのこだわり
美しさへのこだわりは、オクトの色味のある文字盤からも見てとれます。
ブルガリは塗り込みの回数に、もの凄いこだわりがあります。
文字盤の表面へラッカーの塗り込みの回数は、オクトでは15回以上も塗っています。
スイスの伝統ブランドでも、8回も塗り込めば十分なセールストークになるものですが、
ブルガリは他社の倍以上の手間ひまをかけて文字盤を作り上げるんです。
コストを度外視してでもこだわりの色を求め続けるブルガリの姿勢は、本当の美しさを知るスーパーブランドだからこそだと思います。
素材に関係するこだわり
一般的なスイスの時計メーカーが作る薄型ウォッチって、【ゴールドやプラチナに革ベルトを合わせる】というイメージがあるんじゃないかと思うのですが、やっぱり着けていると革ベルトも傷みますし、そもそもゴールドは柔らかくキズが付きやすいんです。
そうなってくると、お家のケースで保管してるだけになってしまいやすいです。
でも、せっかく買った高級時計ですから、毎日楽しみたいじゃないですか。
ブルガリのコンセプトに、「いいものは特別な日のために置いとくものではなく、普段からつかって人生を豊かにしていきましょう」というのがあります。
そんなコンセプトの下、オクトはチタン素材を使ってブレスレットタイプにしたんじゃないかと思います。
ちなみに、ブルガリのチタンはグレー!
皆さんがイメージされるチタンとは明らかに異なるんです。
じゃあ、なんでグレーにしているのか?
これはコーディネートへのこだわりからきております。
イタリアの人や欧米の人たちは、オフィシャルの発表の場やプレゼンの場でのスーツの色がネイビーのジャケットなんです。(日本では黒が多いんですけどね)
そのネイビーのジャケットに合わせやすい色という事で、グレーになってます。
当然、フィニッシモは薄いからジャケットじゃなくてシャツの中に入る、ということは
順番として、まずジャケットがあって、その次にシャツがあって、最後に時計がある。
そうすると、「ネイビー、白、グレー」や、「ネイビー、ブルー、グレー」のコントラストになる。
チタンをグレーにして色目を出すことで「コーディネートのすそ」のお洒落やエレガントさを出す。
そのために、チタンをグレーにしているんです。
コンセプト1つ切り取っても、ワクワクさせてくれる! そんな腕時計なんです。
続きまして、オクトのムーブメントについてです。
宝飾ブランドという事もありムーブメントが凄いという印象があまりないかもしれませんが、
かなりの本気ムーブメントでして、知れば知るほど「やるねBVLGARI」と思わせてくれます。
ブルガリの腕時計は40年ほど前からスイスに生産拠点を移し、
現在では、高級時計メゾンの流れをくむ素晴らしい工房を含め、3つのエリアに拠点を構えます。
特に2011年(垂直統合)以降の躍進は素晴らしく、こちらのオクトもブルガリの技術の全てを費やす傑作ムーブメント搭載となっております。
ブルガリは超薄型のフィールドで、わずか6年ほどで6度の最薄記録(ワールドレコード)に輝いております。
2014年 | トゥールビヨン(手巻き) 最薄記録更新 | BVL268 |
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2016年 | ミニッツリピーター 最薄記録更新 | BVL362 |
2017年 | オートマティック 最薄記録更新 | BVL138 |
2018年 | トゥールビヨン(自動巻き) 最薄記録更新 | BVL288 |
2019年 | クロノグラフGMT 最薄記録更新 | BVL318 |
2020年 | トゥールビヨン クロノグラフ 最薄記録更新 | BVL388 |
2021年 | パーペチュアルカレンダー 最薄記録更新 | BVL305 |
イタリアの伊達男さえも唸らせる“魅力的なデザインを具現化”させたムーブメントですが、実際のデザイン画から、テクニカルデザイナーの手によってムーブメントに落とし込んでいくまでには、少なくとも3~4年、長いものだと9年もの歳月をかけております。
※写真は2015年ブルガリファクトリーツアーにて
中でも一番代表的なものが、3針タイプのオートマティックムーブメント「BVL138」で、
主な特徴をまとめてみました。
- 細工を施した仕上げの美しさ
- プラチナ製マイクロローター
- 面取り仕上げのブリッジ
- 振動数
細工を施した仕上げの美しさ
ムーブメントの装飾の美しさも高級時計においては、大切なことの一つになります。
こちらのムーブメントにも、スイスの代表的な2つの技法が施されております。
コート・ド・ジュネーブ装飾技法とは
装飾模様のひとつでムーブメントのブリッジやローターなどに加えられる波状の装飾のことです。スイス・ジュネーブの湖の岸辺に打ち寄せる小波がモチーフになっています。
ペルラージュ装飾技法とは
ペルラージュとは、パール(真珠)を思わせる小さな円形の筋模様のことなのですが、実はこの技法、手間暇がめちゃめちゃかかるのに隠れた位置(ムーブメントの地板)に施される事が多いんです。BVL138であれば、マイクロローターの下側や、ブリッジの隙間から覗き見ることが出来ます。意識して見ないとかなりわかりづらい装飾なのですが、ムーブメントの露出部に、ペルラージュ装飾があるか無いかで、高級感が大きく変わってきます!それぐらい大事な装飾技法のひとつです。
これも職人の手作業で行われており、細部へのブルガリのこだわりが見てとれます。
プラチナ製マイクロローター(ムーブメントSS)
一般的な自動巻きのローターを使用する場合、どうしてもムーブメントに厚みが出てしまいます。
オクトは超薄型の腕時計として開発されていますから、より薄くすることが可能なマイクロローターを搭載する設計にたどり着いたんだと思います。
ところがですね、マイクロローターという機構は、作り手にとってはすごく難しいものでして・・・
まさに困難へのチャレンジというべきものになります。
ル・サンティエにある複雑時計の工房(旧ダニエルロート&ジェラルドジェンタ社)が、自社の傘下にあるからこそ、ここを成功することが出来たんじゃないかと思います。
ちなみに、マイクロローターの素材は、回転効率を高めるため重さのある「プラチナ950」を使用しております。
こうしたパーツにレアメタルを使用する発想も、ブルガリの伝統的な素材遊びのDNAが影響しているんじゃないかと思います。
また、普通はローターをプラチナで制作するならケースもプラチナなどの同素材を使う事が多いです。
チタンケースにプラチナローターという一般的な発想を超えた提案が出てくるのも、ブルガリならではないでしょうか。
面取り仕上げのブリッジ(両ブリッジ)
ムーブメントに剛性を持たせるために、テンプ受けをツインブリッジ式にしている点も忘れてはいけないポイントです。
普段使いを念頭において、素材(チタン)とムーブメントそれぞれに剛性を意識している点も凄く感心します。
振動数
異なる振動数の時計の音を是非聞いてみてください。
ムーブメントは、2万1600振動/時になります。
いわゆる6振動(ロービート)と呼ばれるモデルで、高級機械式時計に多いタイプです。
時計に耳を近づけた時の音(コッチコッチ)が、比較的ゆっくりと流れます。
一般的に、ハイビートの方が正確に時間を計測しやすいと言われており、
その分、ロービートは時間調整スキルが難しいので、時計職人さんの力量が試されると言われております。
複雑時計のメゾンの流れをくむ、ル・サンティエで開発されたムーブメントならではのこだわりじゃないでしょうか。
以上、オクトのデザインとムーブメント、2つの側面からご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
聞けば聞くほど、ブルガリの本気が伝わってくる至極の一本だと思います。
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ブルガリ・ブルガリ
1977年に制作された、ブルガリを代表するモデルが、こちらのブルガリ・ブルガリです。
第3章のヒストリーの中でもご紹介しますが、ブルガリの特別な顧客様向けのギフトとして、最初に制作されたものが原型になります。
当時はブランド名をベゼルに彫り込んだ大胆なデザインに、賛否両論があったと聞いております。
40年以上が経過し、結果、ブルガリ・ブルガリへの評価は「不変の美しさを持つ時計」へと進化しました。
世界最高峰のブランドならではのデザインセンスをここに見ることが出来ます。
現在のメンズモデルは、アルミニウムコレクションがメインとなり、また新たな変化が始まっています。
アルミニウム
発売当時の広告イメージ
ブルガリアルミニウムが誕生した1998年は、腕時計におけるトレンドの大きな転換点で、その後に大きな影響を与えることになる二つの製品が市場を席巻しました。
一つは、その一年前にジュネーブサロンで復活したパネライから生まれた
デカ厚ウォッチのトレンドの源流。
そしてもう一つは、このアルミニウムの誕生によって今に繋がる、
ケースとベルトを異素材で組み合わせるトレンドの源流です。
もちろん、それ以前からステンレスにラバーなどを組み合わせた商品は存在しましたが、アルミとラバーの組み合わせは、とにかくインパクトがありました!
この商品がブレイクすることで、アルミやチタンケースにラバーなどの異素材を組み合わせた腕時計がトレンドとして大流行し、その後20年以上続くこととなりました。
この二つの大きなトレンドは、奇しくもデザインをこよなく愛するイタリアのブランド達から生まれたものでした。
そして2020年。
新たにアルミニウムが復刻され、より一層洗練されたこの時計が、再びどのように時代を作るのか、私も楽しみにしております。
2019年から2021年にかけて、各メーカーで歴代の名機が復刻され注目されております。
アルミニウムも、オリジナルデザインに忠実に再現されている印象ですが、そこに現在のブルガリの製造技術がプラスされて、昔のモデルと比較して質感が大幅に向上したなという印象です。
つい最近のお話なのですが、20歳前半のお客様がアルミニウムのクロノグラフを着けてご来店頂いたのですが、私のように初期の時代を知っている人間が見ても、やっぱりカッコ良かったです!
初期の時代にあったキザっぽいカッコよさではなく、少し大人びた上品なカッコよさを感じました。
質感が大幅に向上していることも、こうした上品さに繋がってるのかなと思いました。
時代ごとに異なる、今のカッコよさを、ブルガリはちゃんと提案してくれていますね。
2021年、アルミニウムシリーズに、
ブルガリらしい大胆さと遊び心がエッセンスされた限定モデルが登場しました。
プロデューサ、DJ、ファッションデザイナーとして多岐に渡り活躍するスティーヴ・アオキさんとのコラボモデルは、暗闇の中で光る「スーパールミノバのホワイトダイアル」を使用しています。クラブシーンや大人の社交の場で輝く大胆なデザインです。
世界限定1,000ピース、日本では200ピース限定での発売になります。
この大胆不敵なコラボモデルは、この夏の一押し商品です。
ブルガリ アルミニウム スティーヴ・アオキ リミテッドエディションウォッチ。緑色SLNでコーティングを施したホワイトのダイアルに Steve Aoki のロゴ。
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ブルガリ・ブルガリ メンズ
いわゆる1977年の後継モデルとしてのメンズは、現行品では非常に種類が少なくなりました。
レディースに比べて、少し変化が求められているのかなっていう印象です。
アルミニウムが復刻して、よりスポーティーな路線に変っていきそうです。
ただ藤原ヒロシさんとのコラボモデルがそうですが、ケースの色合いとNATOストラップの絶妙な組み合わせで、ひとひねり入れるだけで、こんなにもカッコ良くなるんだと思ってこれはビックリしました。
「FRAGMENT x BVLGARI ブルガリ・ブルガリ 日本限定モデル」は、ブルガリの時計製作技術の核心に藤原ヒロシの革新的アプローチを持ち込み、制作されました。
商品詳細はこちら
このコラボモデルは、正直、私も欲しいです。
単純なドレスウッチではないブルガリ・ブルガリは、「今のカッコよさ」を持てるんじゃないかと思っています。
レディース
続いて、印象的なデザインが魅力のレディースウォッチ コレクションをご紹介します。
セルペンティ
“蛇”をモチーフにしたブルガリを代表するアイコニックコレクションが「セルペンティ」です。
1940年代に誕生したこちらのモデルは、当初はジュエリーから始まりました。
「100年以上にわたる彫金の技術」と「ローマならではのデザインインスピレーション」
この2つがあってこそ、誕生したコレクションになります。
“蛇”と聞くと皆さんはどんなイメージを持たれますか?
少し怖いといったイメージを持つ人もいるでしょうし、命をつかさどる神の使いなど神話の世界を思い浮かべる人もいるんじゃないでしょうか。
日本でも古来より、龍神のような崇高なイメージもありますしね。
世界中で見渡しますと、蛇に対するイメージは様々な意味合いを持ちます。
英知、再生、魅惑的、永遠、復活、強さ、健康、など
そもそも、幸運やお守りというような意味合いをもつ「シンボル」として崇められているようです。
また、時代時代のトレンドを反映するかのように、年代ごとにセルペンティのデザインや素材はどんどん変化し、本当に多くのバリエーションがこれまでに誕生しました。
現在のセルペンティのラインナップも豊富で、ブレスレットの形状や革ベルト、素材を変えた様々なモデルがあり、「私だけのブルガリ」を提案できるのもこのシリーズの一番の魅力だと思います。
有名な方で言えば、時折、TVでアンミカさんがセルペンティを着けていらっしゃるのを見かけます。アンミカさんの内なる魅力や凛とした個性を発揮していて、凄くお似合いだなと思います。
セルペンティのラインナップの基本は3つ。
そして国内ではほとんど見ることが出来ないミステリー様式のジュエリーコレクション等、これだけの種類があります。
どのモデルも、ドレスアップしている時はもちろん、ジーンズなどカジュアルなスタイルでも着けて頂けるんじゃないかなと思います。
ここからはそれぞれのラインナップをご紹介させて頂きます。
まずは、最新コレクションの「セドゥットーリ」から。
“魅惑的な女性”という意味をもつこちらの時計ですが、元々はゴールドモデルとして登場しております。
一流のジュエラーが手がける黄金のモデルは「特別な美しさ」と「着け心地のよさ」を合わせもちます。
ゴールドや宝石を使って時計を作る場合、生粋のジュエラーが作るものよりも美しいものは存在しないのではないでしょうか。ジュエラーは素材の全てを理解しており、最高の技術をもって時計メーカーよりも数段上の完成度へと昇華させます。
このセドゥットーリもしかりで、ブルガリだからこその“特別なクオリティー”を持っています。
セルペンティの主な特徴としては新しい33mmケースを使用しております。
従来のモデルの様なボリューム感はなく、より薄くすることで、使いやすさと洗練された美しさを感じます。
特に“横顔”に注目してください。
ケースの磨きや滑らかさも見てとれますし、曲線がミルフィール状に重なっていて、とてもエレガントなんです。
リューズに施されている赤いルベライト(天然石)は、ローマの建物をイメージした丸いカボションカットで、あたかもペンダントトップの様な美しさが際立つデザインになっています。
まるでジュエリーのような佇まいのこのリューズは、全て天然のルベライト(赤い色素をもつトルマリン)が使用されております。
一説には、赤い色素は自然界ではとても珍しいものと言われております。
トルマリンは様々な色が出るのですが、ルベライトはその中でも高価なものでして、それをふんだんにリューズに使えるのも、ブルガリならではの魅力です。
また文字盤には、ベネチアの白い陶器のグラスをイメージした乳白色の「ホワイトシルバーオパーリングダイアル」が使われています。
陶器の“ゆやく”(ガラスのコーティング剤)と同じものを、文字盤の表面に塗って乳白色のガラスコーテイングを行っています。
ブルガリでは珍しい淡い色ですが、デザインと凄くマッチして、とても素敵なアクセントになっております。
可能であれば、ぜひ一度店頭でご試着してみてください。
薄いので裾の下におさまり、そこから少し覗く美しさが、このモデルは秀でています
もう1つのポイントとして、ブレスレットがそのままケースに付いているような作りで、腕の細い人にもすきまなくフィットしやすくなっています。
少しルーズフィットに調整すれば、そのまま腕の横に落ちてきて、曲線のデザインが綺麗にでます。
ケースサイズは33mmで、若干大きいと言われることもあるのですが、このブレスレットだからこそ33mmで統一して綺麗に見えると思います。
ブレスレットの横幅とケースの横幅が同じなので、本当に一体感があります。
実際に時計をつけて、引きで鏡を見てもらうと、とっても美しく見えます。
他者が腕時計を目にする距離感でさえも、美しく見えるよう工夫されているんです。
それと、ブレスレットの裏側なんですが、
ブルガリではデザインの際に、いかに肌にフィットして着け心地がいいかっていうことを最優先します。
そのため、こちらもコストを度外視してゴールドにもかかわらず裏面をボコボコと盛っています(笑)
そうして生まれた吸いつくような滑らかさが、このブレスレットの特徴です。
「綺麗ですよ」だけじゃなくて、本当に滑らかなんです!
トゥボガス
次は、トゥボガスです。
昔のローマの街に通っていた「ガス管」からインスパイアされたモデルで、セルペンティの中でも、もっとも古くから制作されています。
ガスチューブを逆さまにしてイタリア語で呼ぶと、トゥボガスになります。
一目見てブルガリとわかる特徴的なブレス部分は、職人がひとつずつ手で巻き上げています。
「100年以上にわたる彫金の技術」があるからこその匠の技です。
作業風景 00:20頃
ゴールド(もしくはステンレス)素材の1枚ものの金属板(ひと巻き5メートル)を材料に、
機械を使わずに手で巻き上げていきます。
ひと巻き5mもある金属板を、手で巻き上げるのは気が遠くなる作業です。
トゥボガスは、それだけ熟練職人の手をかけて制作している製品なんです。
熟練の職人の手作業で巻き上げるからこそ、トゥボガスのしなやかなブレスレットが出来上がるわけです。
これぞ、ブルガリならではの技術なんですね。
こちらもSとかMとかサイズがあるのですが、職人がハンドメイドで作るものですから、若干の個体差があります。
『ピッタリくればそれが出会い』というクラフトマンシップならではの作品です。
スピガ
次はスピガです。
スピガは古代ローマの幸運のシンボル“麦の穂”をモチーフとしています。
当時の結婚式で、新婦が麦の穂を持ち永遠の愛を誓ったのが結婚式の始まりとされております。
実際、ブルガリのマリッジリングにも スピガというコレクションがあります。
ですので、お祝いや結婚記念日のプレゼントとしてもお買い上げ頂いております。
ちなみに皆さんは、この腕時計のどこに、麦の穂のイメージを表しているかお分かりになりますか?
実はブレスレットのコマの形が、波打つ麦の穂を表しています。
技術面でいうと、ブレスレットの部分は全部セラミックを使用しています。
セラミック=陶器ですので、これは焼き上げて制作しています。
ブレスレットのコマをよく見ますと、ひとつとして同じサイズはなく、全て大きさが異なるんです!
尻尾の先にいけばいくほど小さくなっていくんですが、
そう、ひとつづつサイズの違う駒を焼き上げて、手作業でそれを組みこんでいくんです。
接着剤は一切使わず、ただただ、隣のコマと形があっているからくっつき隙間なく見えているんですね。
大胆なセルペンティと伝説のスピガを融合したセルペンティ スピガ ウォッチ。古代と現代が交差します。現代的なデザイン、純粋にローマ的なシンボル。麦の穂のパターンは無限を意味します。
商品詳細はこちら
これを、全て計算して、考えて、焼き上げているのがブルガリの技術なんです。
しかも1個1個が独立していて、割れる可能性が低くなるように設計・製作されているんです。
セラミックは硬いのでキズはつきにくいのですが、陶器ですから落としたり等の強い衝撃が加わると割れてしまう事があります。
しかし実際のところ、他社のセラミック製品に比べるとブルガリの製品は割れたという修理自体少ないと思います。
この辺りにもブルガリの技術が、いかされています。
ブルガリ・ブルガリ
セルペンティが唯一無二の個性を際立たせる時計ならば、
こちらブルガリ・ブルガリは時代を越える美しさを持つ時計です。
初めてのいい時計を欲しいと思っていらっしゃる方には、必ず候補に加えて欲しい一本です。
第一章でも触れさせて頂きましたが、1977年のファーストモデルから、何十年経ってもデザインが色あせないんです。
40年以上もの間、どの時代の人が見ても美しいと思ってもらえる。
これぞ「名作」なんです。
店頭での販売時、お客様に試着して頂きますが、この時計の場合その日のファッションやお客様の雰囲気に関係なく、自然と時計がお客様にマッチしているという、不思議な感覚を接客中に覚えることがあります。
どういうことかと言いますと・・・
Tシャツにジーンズの様なカジュアルなファッションでご来店頂いたお客様が、ブルガリ・ブルガリを気に入って頂いた。翌日にドレスアップして、再来店頂き、改めて時計を試着いただいた。
ファッションは勿論、ヘアスタイルやお化粧の雰囲気も随分と違ったのですが、結果、どちらの雰囲気でも凄くお似合いでした。
お客様の雰囲気に合わせて、時計の印象が変化するといいますか、
時には「クール」で、時には「可愛い」存在感を醸し出すんです。
これはデザイン力が高いブランドで生まれた「稀代の名作」だからこそ、感じてしまう特別な感覚なんだろうなと思っております。
ルチェア
イタリア語で“ひかり”を意味するルチェアは、古代の日時計の光をイメージしています。
輝くような鏡面仕上げの美しさと、ひときわ人目を引く赤のリューズが特徴です。
ブレスレットもケースも丸みのある柔らかなデザインですが、ブルガリらしいボリューム感と立体感が個性をアピールしてくれます。
この印象的なリューズは、赤い合成カボッションルベライトを使用しており、真ん中にはダイヤモンドが埋め込まれています。
ダイヤを埋め込んでいるので、耐久性を得る為、人工のものを使用しております。
種類は3種類です。
特に日本ではスケルトンの人気が高く、過去には【日本限定】のモデルもたくさん出ております。
また、国内ではサイズの小さいものも人気ありまして、
23mmのサイズについてはアジア限定になっています。(日本、韓国で発売)
ルチェアの中ではもちろん、ブルガリとしてもめずらしい、非常に小さいモデルです。
ブランドヒストリー ~歴史からひも解く、ブルガリのデザインエッセンス~
ブルガリの持つデザインの素晴らしさは、決して一過性のデザインという訳ではなく、ブランドの歩んできた長きヒストリーや地理的な要因など、ブルガリの持つバックボーンに大きく影響を受けています。
ローマにルーツを持つブルガリ。その唯一無二の個性は果たしてどのように生まれてきたのか。
ここからは、その背景について順番にご紹介していきます。
① ギリシャの銀細工職人
ブルガリの創始者であるソティリオ・ブルガリは、ギリシャの銀細工職人の家に生またルーツをを持ちます。
当時のギリシャは、ヨーロッパの王侯貴族の皆さんがバカンスに遊びに行く避暑地でした。
王侯貴族の皆さまは、王位や権力の象徴として宝石をたくさんお持ちですが、
さすがに、盗難などを考慮しバカンスには着けてはいかなかったようです。
まぁ、普通にカジュアルな感じでしょうしね。
避暑地でも、普段使いのジュエリーは需要があり、銀細工のジュエリーは特にもてはやされていました。
旅の幸運やお守りの意味合いのモチーフ(船や神話の神様、草木や花など)が装飾されていたようです。
当時の銀細工製品
ブルガリは、この当時から王侯貴族の方からの
オーダーメイド制作を行っていた
② ローマ
その後、息子たちが当時のジュエリーの本場であるフランスで学び、それをローマに持ちかえってお店をオープンしました。
これがブルガリの始まりと言われています。
はじめにオープンしたヴィア・システィーナの店舗。
引用元:ブルガリ公式サイト
もともと銀細工を作っていたからこそ、ブルガリの製品は今も、繊細かつ、着ける人のことを考えた製品作りを得意としています。
特に銀細工は重いので上手に作られた製品でないと、長く身に着けている間に、肌にあたる部分が擦れたり、赤くなったり、怪我をしたり…という事があります。
当時から身に着ける人のことを考えて制作していたからこそ、今でもその「着け心地のよさ」がブルガリ製品の根本に存在します。
着ける人のことを、真剣に考えて作っているブランドである
こちらは製品を触って始めて分かる細部へのこだわりなのですが、時計のブレスレットにもこうしたこだわりが息づいています。
例えば、女性ものでセルペンティの新作は、ブレスの裏側にゴールドを盛るような作り方をしています。
ゴールドの時計だと、ブレスの裏側を空洞化させたりしている製品もあるのですが、セルペンティでは、ぼこぼことさせることで腕にすいつくような感覚を感じてもらえます。
大胆なデザインですが、着用感がとても滑らかです。
参考画像:SERPENTI SEDUTTORI ウォッチ 103146
銀細工だけでなく、フランスに学んだジュエリーの知識をベースに、ブルガリはハイジュエリーにも進出していきます。
この当時ジュエリーの主流はフランスです。
カルティエやヴァンクリーフ&アーペル、ショーメなどフランスを代表するメゾンが活躍した時代でもあります。
フランスのジュエリーは、繊細で女性らしいイメージで、
宮殿で使われるフリルやリボンのような王侯貴族のお洋服からデザイン着想を得たり、
大きなティアラだったりと、繊細で、どこか貴族的なデザインが主流でした。
またジュエリーは権威の象徴でもありましたので、希少性の高いエメラルド、ルビー、サファイア、ダイアモンドにプラチナという「価値ある素材」が多く使われていました。
そんなフランス様式のジュエリーを学んで、彼らはローマに戻ってきました。
元々ローマも、ソティリオ・ブルガリもルーツは地中海(ギリシャ)なんです。
ローマ様式といわれる建築物などのデザインをジュエリーに取り入れて、
ローマ唯一のハイジュエラーとして名をはせていったのが1930年代から50年代になります。
この時代の飛躍の背景には、ギリシャの地中海文化が大きく影響を与えたといえます。
ですので、デザインも大胆だったり個性的な製品が世界に求められたんだと思います。
ちなみに世界五大ジュエラーの中で、ローマのハイジュエラーはブルガリだけなんです。
後はアメリカとフランスです。
&アーペル
③ チネチッタ & ドルチェ・ヴィータ
<左> エリザベス・テイラー&リチャード・バートン 1967
<中央><右> エリザベス・テイラーとプラチナ×エメラルド×ダイヤモンドのBVLGARIジュエリー
1950年~60年代、個性豊かなブルガリのジュエリーは、スターたちに愛されました。
チネチッタとは、1930年代にローマ近郊に建設されたヨーロッパでも有数の映画撮影所のことです。
今でいうハリウッドの様な撮影所ですね。
世界的に有名な「ローマの休日」はもちろん、
一世を風靡した「甘い生活」、アメリカ映画の「グラディエーター」、
なんと日本映画の「テルマエロマエ」の撮影もこちらで行われております。
当時はイタリアでモノクロ映画が流行った時代で、
本能のままに自由に遊び暮らす“ドルチェ・ヴィータ”という生き方も一世を風靡しました。
ローマには世界中のスターたちが集まり、こぞってブルガリ本店でジュエリーを買い、スターに愛されたブルガリはさらにブランドとして飛躍していきました。
唯一無二の存在であるスターを光り輝かせる
「私だけに似合う、私だけを輝かせるジュエリー」をオーダーメイドで制作した
ここで1番目のポイントが生きてくるのですが、もともと銀細工の時代からオーダーメイドを行っていた技術力の高さと、他のハイブランドにはない、大胆なデザインや、
カラーストーンを使った華やかな色彩に満ちた色使いがここで生きてきます。
フランスのジュエリー文化では、4大貴石+プラチナで構成する分、色合いに関してはある一定の範囲から大きく逸脱することは難しかったと思います。
ブルガリも少し前の時代には、エメラルドやダイヤなどの4大貴石しか使っていない時期もあります。
ところがブルガリはギリシャやローマがルーツになんです。
地中海の文化は、色石の文化、ゴールドの文化なんです。
昔の歴史の中でも、兵士たちが色石を砕いて顔に塗って戦いに出かけたりとか
ローマの将軍たちが勝利をもたらすという縁起をかついで身に着けていたりとか、
もっと古くは旅のお守りとして色石が使われていました。
当時は、価値がないといわれていたカラーストーンを主流として、ジュエリーを作ったのはブルガリが初めてと言われています。
「色の魔術師」当時のブルガリはそう呼ばれていました。
「私だけを輝かせるジュエリー」を求めるスターたちを虜にしたブルガリのジュエリーは、こうしたバックボーンがあったからこそ生まれてきたのです。
④ 始まりはギフトから
ここからはいよいよ本題の腕時計の歴史にせまります。
1975年のクリスマスに、ローマ本店の顧客限定100名に、あるギフトウォッチがプレゼントされました。
それがこちらのメンズウォッチです。
ブルガリというブランドに時間を使ってくれてありがとうというメッセージを込められていたそうです。
実はこちらの時計、アンディ・ウォーホルさんも凄く手に入れたがったけど無理だったという品物です。
それほど、話題性をもったものだったのです。
この初めての時計にもブルガリのDNAは組み込まれています。
皆さんはどこに違和感を感じるでしょうか。
なんと、ベルトの素材に麻を編んで制作しているのです。
歴史溢れるローマだからこそのアイディアだなと思います。
その後1977年に「ブルガリ・ブルガリ」として正式に時計を発売することになります。
1977年 ブルガリ・ブルガリ 発売
⑤ オクト誕生
「ブルガリ・ブルガリ」で大成功を納め、ウォッチメゾンとして更なる飛躍をするため、
1980年代初頭に、スイスに時計製造を専門とするブルガリ・タイム社を設立しました。
ジュエリーの制作技術は世界有数のブランドですが、時計に関しては1970年代後半からのスタートになります。
超一流ブランドであるからこそ、新しく参入するカテゴリーでも最高品質を追求しようとします。
そこでスイス時計の聖地のひとつであり、昔から優秀な時計職人が多いヌーシャテルに時計生産の本拠地を構えました。
その後ブルガリは、マニュファクチュール(自社一貫生産)としての道を歩み始めます。
世界に誇るブルガリウォッチの傑作モデル「オクト」は2011年に誕生します。
30年の時を越えて生み出された「イタリアのデザインとスイス技術の融合」、
これこそがブルガリウォッチの目指した答えなのです。
2012年発売した ブルガリ・オクト
ローマというバックボーンの中で生み出される斬新なデザイン、
それをスイスの素晴らしい時計技術を持って
かつ、30年以上の時間を投資し独自のアートスタイルを確立。
イタリアのデザインとスイス技術の融合 ~ブルガリの時計作りにおけるポリシー~
① イタリア人にとっての美しさの概念
ブルガリの時計は、スイスの技術ありきでなく、デザインファーストで作られております。
既にヒストリーをご覧頂いた皆様は、お分かりいただけるかと思いますが、
デザインの中にこそブルガリのアイデンティティが存在するからです。
だからこそ、何よりもデザインへのこだわりが強いんです。
デザインが出来上がってから、それに対しての技術(ムーブメントなど)を開発するぐらいですから。
現在のブルガリのメインデザイナーはファブリツィオさんです。
Fabrizio Buonamassa Stigliani ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏
メンズの時計はもちろん彼がデザインしていますし、レディースについてはジュエリーデザイナーと一緒にデザインを考えています。
2001年からブルガリに入社して時計のデザインを制作しています彼の経歴は、一般の時計デザイナーとちょっと毛色が違います。
彼は車などのインダストリアルデザイン(工業デザイン)の専門家という異色の経歴を持ちます。
彼は、デザインについてこう語ります。
イタリア人にとって美しさの概念は、他の国の人と違うんだ。
美しさは人生を豊かに向上させていくために欠かせないものなんだ。
そして彼の持つ信念は、「いかに美しくシンプルで使いやすいか」なんです。
我々日本人とは、デザインに対する概念や発想が違う所からきているように感じます。
― ではどうして違う発想が生まれてくるのか?
イタリア人は美しさに囲まれて生きています。
食べ物もそうだし、歴史ある建造物もそう
五感を使って毎日を楽しんでいるのです。
― それはなぜ?
ローマは、あたかもミルフィーユの層のように歴史が重なる街なんです。
― うん?どういうこと?
日本の歴史は、時代によって「都」の場所が異なりますよね
ある時は京都だったり、江戸だったりと遷都しているので、街ごとに一つの時代の歴史が刻まれています。
ところがローマはず~と「都」として繁栄し続けています。
ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロックから現代へ・・・
1つの街に全ての歴史が積み重なっているので、街自体が美術館のように美しいのです。
ローマを歩いているだけで、様々なインスピレーションがわき上がります。
美しさや美意識を当たり前の感覚として持っている、これがイタリア人の感覚なんだそうです。
これこそがブルガリのイタリアンデザインのDNAなのです。
② スイス技術の現在
ブルガリのデザインに関するこだわりは十分伝わりましたでしょうか?
それでは、そのこだわりを具現化するために、どのような軌跡を歩いているのか
ここからは、スイスでの商品開発や製造についてご紹介します。
ブルガリのこだわり抜いたデザインを具現化するためには、時計においては、スイスの技術がどうしても必要になります。
そこでブルガリの時計製造部門は、1980年代初頭より30年以上の時間をかけて、スイスの地に根をはり続けております。
特にここ10年で、全ての時計製造の部門を一括化し、更なる進化をとげました。
部品の安定供給はもちろん、より高度な技術を必要とする開発が可能となりました。
こちらがスイス国内のブルガリの拠点になります。
ルサンティエ – ムーブメント制作
セーニュレジエ – ケース/ダイアル制作
ヌーシャテル – 本社
バレンツァ – ジュエリー制作
新しい商品を開発する際は、まずはイタリアでデザインがおこされます。
そしてスイスのテクニカルデザイナーによって実際のムーブメントに落とし込んでいきます。
一般的な商品で3、4年。
オクトフィニッシモは、開発に9年もの時間がかけられています。
優秀な開発者をもってしても、もの凄く長い時間をかけなければ具現化にたどり着けない、
ブルガリのデザインへのあくなきこだわりには、改めて脱帽します。
近年のブルガリは、毎年のように世界記録を更新しています。
自社開発のムーブメントで腕時計のアカデミー賞ともいわれるGPHGで2度の賞も受賞。
機械の部分でも大きく評価を受けております。
GPHG(ジュネーブ時計グランプリ)とは
2001年に創設された「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(Grand Prix d’Horlogerie de Genève=GPHG)」は今や、業界で最も重要なアワードとしての地位を確立した
ブルガリの複雑時計を製造しているルサンティエにある工房なんですけど、もともとは有名時計師ダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタが共同で作った有名な工房でして、
2011年にブルガリに垂直統合されたのですが、かなり有名な時計工房だったんです。
特にミニッツリピーターやグランソヌリといった超複雑時計の製造を得意としていたんです。
こういう時計の部品点数は1000個以上のパーツで構成されていますから、それを薄く組み立てる設計と技術が必要になります。
長年にわたるノウハウがあったからこそ、世界を震撼させたブルガリの薄型ムーブメントが生まれたわけです。
ミニッツリピーターやグランソヌリっていう複雑時計は、時計ではめずらしい【音で時間を知らせてくれる時計】です。
本当に美しい音色を奏でるのですが、こちらのムーブメントを組み立てるには「音の調律の才能」も必要になりますので、これを組み立てられる時計師は世界でも15名程度しかいないと言われております。
そのうち、このルサンティエの工房には、3名の技術者がいるそうです。
世界でも屈指の時計工房と呼ばれる所以ですね。
こちらの写真は、カリヨン トゥールビヨンのムーブメントです。
こんな凄い時計もこちらで1から組み立てられております。
別枠の角部屋で自然光がしっかりと入る素晴らしい部屋で、複雑時計が作られているんですね。
– 最後に –
いかがでしたか?
あなたにピッタリなブルガリの腕時計は見つかりましたでしょうか?
このブログが、これからブルガリの時計を購入される方のお役に立てるとうれしいです!
最後までご拝読頂き、誠にありがとうございました。
また、ご購入前にご質問がありましたら、メールでもお電話でも構いませんので、
ぜひ私共までご連絡頂けましたらと思います。
それでは、またお会いしましょう!
この記事の監修者
- 山本 公一郎(ヤマモト コウイチロウ)
株式会社アイアイイスズ.HD
EYE-EYE-ISUZU G-Time店長
- 香川県出身
大学を卒業後、外資系製薬会社MRを経て、アイアイイスズに入社。
25年以上のキャリアを持ち、スイスの高級機械式時計からG-SHOCKまで、腕時計に関する幅広い見識を持つ。
店舗のHPはこちらhttps://eye-eye-isuzu.co.jp/gtime/
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